生徒より
from Students
生徒より

生徒より

生徒より

【生徒広報委員企画 Vol.9】70年以上前の先輩から学んだこと

8月15日は終戦記念日です。8月に入り、ニュースや新聞などで戦争について多く取り上げられています。それを聞く度に、中学2年生の総合の授業で知った戦時中の白百合生の姿を思い出します。それまで戦争を深く見つめることは世界の見てはいけない部分に触れてしまう気がしていた私は、戦時中の人々の思いに目を向けることを避けていました。「戦争と湘南白百合の生徒たちー旧乃木高等女学校のころー」という、先輩方の記録をもとにした資料を活用し、平和について考えることで、真正面から見つめることができました。
友達と勉強することも遊ぶこともできない中学・高校生は、死という恐怖と隣り合わせの中、希望を心の中にしっかりと抱きしめ、学徒勤労動員によって毎日身を粉にして働いていました。「綺麗に死にましょうね。乃木高女の生徒らしく。」私は、この言葉が忘れられません。どんなに自分の命が危険でも最後まで人のために努力を重ねて最善を尽くし、乃木高女としての誇りや気高さを常に持って生きる、先輩方の志をはっきりと表す言葉だと思います。死への覚悟と生への期待。正反対の方向へ向けられているその感情が、心の中でどのように確立され、反響していたのか、令和の時代に生きている私には想像できません。
与えられた仕事に誠意を持って全力投球する生徒たち。心を傷つけられても、神様にならって許す精神を持ち続けた生徒たち。敗戦を知り、学園生活を犠牲にした我慢や努力が徒労に終わった悔しさを噛みしめる生徒たち。70年以上もの年月を超えた今、私達は、戦時中を生きた先輩方の心の軸にあった正義や白百合生としての凛とした意志を継承しなければならないと感じます。
戦争は、人と人との関係の歪みが可視化される歴史上の一つの転換点だと私は考えます。地球全体の本当の「平和」な世界は、戦争をしない、目に見える「平和」と、温和で愛する気持ちによって生じる心の「平和」の成立によって実現するはずです。
昨年度は休校期間が続き、思うような中学校生活を満喫することができませんでしたが、その中で大切な学生生活を失った先輩方の心の保ち方を学ぶことができたのは、とても貴重でした。戦争が起こった事実を私達に伝え続けるために体験談を記録として残し、戦争について考えるきっかけを作ってくださった先輩方に感謝しています。今こうして学べることの喜びを噛みしめ、白百合生としての姿勢を受け継ぎ、未来につないでいこうと思います。